そもそも「カビ」って?
おなじみのアオカビ、壁に生える嫌な黒いカビ、世界に数万種類いるといわれるカビは不思議な生物。動物でも植物でもなく、生物学的には「真菌類」と呼ばれている。ビール酵母などもその仲間だ。カビはとてもタフな奴で、ジェット機にも硫酸にも生えるほど。なんと水深千メートルの深海に生きるカビもいるという。
役立つカビも
嫌われ者のカビだが、なかには役立つ奴もいる。たとえばブルーチーズの独特の風味は、カビの働きから生まれるもの。白カビを使って作るカマンベールチーズもある。もちろん、これらのカビには毒性はない。また、アオカビからは、ペニシリンという抗生物質が発見され、多くの人々の命を放ってきた。ただし、アレルギーや食中毒の原因にもなるので、油断のならない連中なのだ。
温かく、ジメジメした場所が好き
「住まいのどこにカビが生えましたか? 」の質問の. 答えベスト10を見てみよう。ほとんどの家庭で経験●していると思うが、やはり風呂場が断然トップ。以下、トイレ、台所といった水を使う場所や押入、下駄箱など、通気の悪い場所があがっている。
また、こんなものにまでカビが生えてしまったというものには、ビデオテープ、フロッピーディスク、. カメラのレンズ、トロフィー、CD などがあった。どうやらカビはどんなところにも生えるらしい。たとえばシンナー、防虫剤、灯油など、普通では考えつかないものまでカビの住まいになるという。では、カビが生えやすい条件とは何だろう?
まず風呂場のような温度と湿度が高い場所、さらにカビの栄養になるものがあること。この三つの条件が揃うとカビが出現するのである。
意外なものがカビの栄養だった
タイルにカビを塗りつけたものを湯を張ったミニチュアの風呂と一緒に、温度28℃、湿度86% の培養器に5日間入れてみた。しかし、カビはまったく成長していなかったのだ。
高温多湿なだけでは、カビには不十分というわけだ。そこで風呂場の水滴から検出された石けんヤシャンプーの成分とカビを混ぜ、培養してみたところ、みごとにカビが成長した。風呂場のカビは、石けんやシャンプーに垢などが混ざったものを餌にしていたのだだということは、カビの餌を風呂場からなくせばよい。
そのためには、風呂上がりの際に、壁や天井を熟いシャワーで洗い流してみよう。次に冷たいシャワーで壁と天井の温度を下げる。そして、窓を開けたり、換気扇を回して壁や天井を乾かす。これで対策は完璧。
窓と風が大事
高温多湿の日本でも一、二を争う雨量を誇る屋久●島。年間平均気温19℃ 、湿度74 %という、カビにとっては天国のような環境だ。ところがこの屋久島の家屋では、あまりカビを見かけないという。
その理由は、家の構造にある。屋久島の家は風通しがよいように工夫され、部屋の隅々まで風がゆき渡る。
さらに畳の下も板ではなく、竹で編んだ床になつているという。
空気の流れをよくすることで、かなりカビを防ぐことができそうだ。
たとえば押入なども、下にすのこを敷き、荷物も奥まで▼▼詰め込まず、隙間を確保するとよい。戸も閉め切りにせずに、空気をよどませないように心がけよう。ときおり、戸を開け放し、なかに扇風機で風を送り込んでやるのも効果的だ。
カビとダニ
カビは見た目に悪いだけではなく、人体にもさまざまな影響をおよぼす場合がある。その一つがアレルギー。
しかもカビは、やはりアレルギーの原因となるダニを育ててしまうのだ。ダニにはさまざまな種類があり、なかにはカビを餌にする種類もいるらしい。また、チリダニの好物は、フケや垢などのたんばく質だが、カビはこのたんばく質を、ダニが消化しやすいように変えてしまうという。人間にとっては何とも迷惑なコックさんだが、カビは大喜びだろう。そのためか、カビが生えているとダニが寄ってきてしまう。やはりカビはしっかり退治しておく必要がある。
生えてしまったカビは?
生えてしまったカビはとるしかない。放っておけばどんどん増えてしまうので、ここではラクラクとるコツを相介しよう。
まず、水拭きではカビは退治できない。かえってカビを広げるだけ。壁などのカビはまずアルコールで拭きとり、さらにアルコールを完全に乾かすことがポイント。必ず換気すること。
食品や口に入るものにはアルコールがお勧め。
カビの生えやすい、北側の部屋、隣の家とすぐ近くで風が通らない場合には、日頃から防カビ対応の空気清浄機などを使うのがおすすめです。